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ピモベンダン  Pimobendan

成分説明
ベンゾイミダゾール-ピリダジノン系の強心性血管拡張薬です。心筋の収縮の増強と、血管拡張の二つの作用による心機能改善効果があります。

ピモベンダンの主な心筋収縮増強作用は、心筋のカルシウム感受性の増強によるものであることが知られています。
カルシウムとは、心筋を含めた筋肉の収縮に大きく関与している電解質で、刺激によって筋小胞体から放出されると、収縮タンパク質と呼ばれる筋線維内のタンパク質に結びつき、筋肉を収縮させる作用を発揮します。ピモベンダンにはこの収縮タンパク質のカルシウムに対する感度を高める作用があり、この作用によって心筋の収縮力を増強する効果を発揮します。また従来から用いられているジゴキシンなどの陽性変力作用薬と比較して、心筋の酸素消費量を増加させることなくその効果を発揮するため、心筋の収縮拡張時に心臓にかかる負担を軽減させる作用があるとされています。

さらにピモベンダンには、ホスホジエステラーゼIIIと呼ばれる酵素の作用を阻害することによる血管拡張作用があります。このホスホジエステラーゼは、細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMPやcGMPといった物質の働きを調整する酵素です。哺乳類においては11のタイプが認められていますが、ピモベンダンはこれらのうち心臓や血管平滑筋に多く存在しているとされるホスホジエステラーゼIIIの作用を選択的に阻害し、血管平滑筋細胞内のcAMP濃度を上昇させることによる血管平滑筋拡張作用を発揮します。
また、このピモベンダンによるホスホジエステラーゼIII阻害作用は、心筋細胞内cAMP濃度を上昇させ、心筋収縮を増強させる作用も認められています。しかしその心筋収縮増強作用が心臓の心拍数上昇や心筋収縮に関与しているβ受容体を介さないことから、心臓の心拍数や酸素消費量を増加させることなくその収縮力を増強するため、結果として血管拡張と心筋収縮増強作用の相乗効果による心機能改善効果が発揮されることになります。

成分分類
心臓薬

適応
拡張性心筋症 僧帽弁不全症 うっ血性心不全


副作用
食欲減退、元気消失、下痢、呼吸困難、高窒素血症、衰弱、運動失調など

注意事項
肥大性心筋症、大動脈弁狭窄症、そして他の心拍出量の増加が不適切とされる症状には使用しないでください。

※農林水産省により【指定医薬品】【要指示医薬品】に指定されているため、個人輸入に際しては「動物用医薬品輸入確認願」や誓約書などの必要書類を農林水産省畜水産安全管理課薬事監視指導班へ提出し、確認印を受けた後、輸入することができます。