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内部寄生虫
ペットの体の内部、主に腸管などの消化管に寄生する寄生虫が回虫、鉤虫、鞭虫、条虫といった内部寄生虫(あるいは腸内寄生虫)です。
内部寄生虫は目に見えないために感染の発見が遅くなりがちで、下痢や腹痛、嘔吐、貧血などの症状や、臓器のさまざまな障害を引き起こします。
さらに感染した動物の糞便と一緒に排出された寄生虫の卵が土壌を汚染し、ヒトがその土壌を触った手を口に入れるなどの不注意な行為によって、ヒト感染を引き起こす場合もあります。
●もっと詳しく
【条虫症の特徴は?】
一般的にサナダムシとしてよく知られている寄生虫です。頭部と首部、それと「片節」と呼ばれる体節からなる扁平な虫で、成虫では50cm以上にもなるものもあります。
条虫感染は条虫の幼虫に感染しているノミやシラミを動物が食べることによって引き起こされます。幼虫は動物の体内で成虫となり、首部から次々と新しい片節を生成する一方、体の先にある古い片節を切り落として糞便と一緒に排出しながら成長します。切り落とされてから間もない片節には動いているものもありますが、時間が経過して米粒やキュウリの種のような形をした乾燥したものには数多くの卵が含まれています。また、切り落とされた片節はしばしばペットの肛門周辺に付着している場合もあり、この片節の付着が条虫感染の目安ともなっています。
【回虫症の特徴は?】
回虫類は糞便に含まれている卵を口にしたり、回虫に感染しているネズミなどの小動物(中間宿主)を食べることによって感染するほか、子宮や胎盤、あるいは母乳に移行した幼虫を介して感染することもあります。
回虫は小腸に寄生し、宿主が食べた食物の栄養分を摂取しますが、その際宿主の小腸の粘膜を傷つけてしまいます。
軽度から中度の感染では症状が現れないこともありますが、体重減少、毛につやがみられなくなる、腹部の異常なふくらみや、貧血、嘔吐、下痢、便秘などの症状がみられることがあります。また、まれに重度の感染によって腸閉塞が引き起こされる場合もあります。このほかにも幼虫が呼吸器に移行することによって咳込むこともあり、この幼虫の呼吸器への移行は子犬においては肺炎を引き起こすこともあります。
【鉤虫症の特徴は?】
鉤虫は回虫の一種です。
頭部に鉤虫の名の由来となる鋭利な歯、あるいはかぎのような部位を持っているのが特徴で、自身を宿主の小腸壁に固定させ、吸血しながら成長、繁殖します。
鉤虫は感染した動物の糞便と共に排出された卵からふ化した幼虫が皮膚や毛穴から体内に入る経皮感染、幼虫によって汚染されている水や食物、あるいは小動物(中間宿主)を口にすることによる経口感染、感染している母親の子宮や胎盤、あるいは母乳を介した母子感染によって感染します。
感染による症状でも最も顕著なものは貧血で、歯ぐきの色が悪くなったりします。
そのほかにも嘔吐や下痢などがみられたり、元気がなくなったり、黒いタール便が出たりすることもあります。
また、幼齢の動物においては毛づやが悪くなる、発育不良といった症状が現れます。
鉤虫のヨダレには抗吸血部位の血液が固まらないように抗血液凝固成分が含まれており、鉤虫が移動した後でもその吸血箇所からの出血はとまりません。
そのため重度の感染になると宿主となる動物はやつれはて、死に至ることもあります。
【鞭虫症の特徴は?】
大腸や盲腸に寄生する寄生虫で、鞭のような形態をしています。
鞭虫は、感染した動物の糞便と共に排出された卵によって汚染された水や食べ物を口にすることで感染します。
卵は宿主の体内でふ化し、成虫は大腸や盲腸の腸壁に付着し吸血します。
感染による影響は、寄生している鞭虫が少数であれば無症状ですが、多量の鞭虫が寄生すると腸内に炎症が引き起こされ、多量の膿が生じます。場合によっては腸内出血を引き起こすこともあり、下痢や体重減少といった症状がみられることがあります。
●病気の対処法
糞便の始末をきちんとして清潔な環境を保つことが大切です。また定期的な検査と駆虫薬の投与を行なうことで、感染を効果的に予防することができます。
また、条虫はノミを中間宿主として感染することがあるため、ノミの駆除も欠かせません。
さらに内部寄生虫は人に感染することもあるので、糞便の始末やペットと遊んだ後にはしっかりと手洗いをすることが推奨されています。
●その他
【ズーノーシス(人獣共通感染症)】
ペットに寄生している内部寄生虫は、キスや口移しといったペットへの接触や、あるいは糞便に触れた手を口に入れるといった行為によってヒトへも感染します。
人獣共通感染症(ズーノーシス)としての内部寄生虫の感染経路は、主にペットに寄生している寄生虫の卵や幼虫が食べ物などを介して口に入ることによるものです。
特に子供は感染しやすいため、ペットや砂場(動物の糞便などがあることがある)で遊んだ後、および食事前には必ず手洗いをさせることが必要です。
また、寄生虫の卵や幼虫で汚染されている野菜を食べることによっても感染する可能性があるので、野菜は充分に加熱調理をするか、生で食べる場合はよく洗ってから食べるようにすることが必要です。
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