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子宮蓄膿症
細菌感染症によって子宮内に細菌が入り込み,膿が溜まる病気です。避妊手術を受けていない中高齢の雌イヌに多く発症する傾向があり、最悪の場合は症状の悪化に伴う敗血症や腹膜炎などによって重篤な状態に陥ることもあります。
■病気の詳細
子宮蓄膿症の発症は、繁殖期に卵巣から分泌され、雌イヌを妊娠しやすい状態にする働きを持つ黄体ホルモン(プロゲステロン)によるものと考えられています。
通常、子宮内はイヌの免疫機能によって無菌状態に保たれていますが、排卵後に卵巣から分泌される黄体ホルモンには、精子を受け入れやすいよう子宮頚管を閉ざし、受精卵の着床を容易にするため子宮内膜を増殖させるなど、雌イヌの体を妊娠しやすい状態にする働きがあります。
さらに黄体ホルモンには、雌イヌにとって異物となる受精卵を受け入れるように免疫力を低下させたり、受精卵の栄養となる「液」を分泌する子宮腺を増加させる作用もあり、これらの要因が子宮内への細菌の侵入や繁殖の原因になるとされています。
子宮蓄膿症には、子宮内に蓄積された膿が膣から排出される開放性子宮蓄膿症と、膿が排出されず発熱、食欲不振、元気消失、飲水量と尿量の増加、嘔吐、下痢といった全身状態の悪化が見られるようになる閉塞性子宮蓄膿症とがあり、特に後者では細菌毒素による敗血症や多臓器不全、子宮破裂による腹膜炎などを引き起こし、場合によっては命に関わる重篤な状態に陥ることもあるとされています。
【症状】
・膣から膿や悪臭のするおりものが出る(開放性子宮蓄膿症)
・元気、食欲消失
・発熱
・多飲、多尿
・嘔吐、下痢
・腹部膨満
■対処法
薬剤により細菌の繁殖を抑制したり、溜まっている膿を排出して症状の改善をはかる対症療法と、病巣となる子宮を摘出する外科療法があります。
内科療法は、抗生物質による細菌増殖の抑制や子宮収縮剤で膿を排出して症状の改善はかる対症療法です。しかし実際には抗生物質によって細菌の増殖を完全に抑えることは難しく、また一時的に症状の改善が認められても再発するケースが多いことから、主に高齢や体力の低下などの理由により手術が困難とされる場合に選択されます。
根治には膿の溜まっている子宮を手術で摘出する外科療法が行なわれますが、子宮内で繁殖した細菌毒素によって敗血症や腎不全をはじめとした合併症を起こしていることが多く、通常の子宮摘出手術よりもリスクが高くなっています。
近年、子宮蓄膿症の治療薬として高い効果が認められているのが、子宮蓄膿症の発症や増悪に関与しているとされている黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用を抑制するプロゲステロン受容体拮抗剤です。子宮蓄膿症では子宮内が黄体ホルモンの作用によって細菌繁殖に適した環境となっている上、内科療法で使用される抗生物質に耐性を獲得した耐性菌が増えており、抗生物質の効果が充分に発揮されにくくなっています。
プロゲステロン受容体拮抗剤は黄体ホルモンの作用を抑制して子宮内での細菌の繁殖を強力に抑制するほか、子宮を収縮させて膿を排出することによる高い治療効果が認められています。
■その他
子宮蓄膿症は避妊手術をしていないメス犬に発症する確率が高いため、避妊手術で病巣となりうる子宮や卵巣を摘出することでその発症を予防できる病気です。
また閉塞性子宮蓄膿症は発症しても膿が排出されず、特徴的な症状が見られないこともあるので、発情期後に急に水を多く飲む様子や、元気・食欲の低下、お腹の膨らみなどの症状が見られた場合には、早急に獣医師の診断を受けることが望ましいとされています。
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