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嘔吐

嘔吐とは、いったん胃に入った食べ物が何らかの原因によって口から戻されることを言います。体調の良し悪しに関係なく引き起こされる生理的現象から、重篤な病気の症状として現れるものまで実にさまざまであるため、嘔吐の頻度や吐き方、吐き出された内容物を観察し、適切な対処を取ることが大切です。


■詳細
一般に「嘔吐」と呼ばれている現象は、医学的には「吐出」と「嘔吐」とに分類されています。
「吐出」とは、胃ではなく食道にある消化されていない食物が吐き出されることです。一般に異物による食道の閉塞や、食物を胃へと送りこむ蠕動(ぜんどう)運動が正常に機能せず、食道内に食物が詰まった状態となることで生じる生理現象であるため、通常は、「吐出」が見られた後の動物の健康状態が良いようであれば心配することはないとされています。

一方の「嘔吐」は、胃や小腸上部まで達して消化されかけた食物が、何らかの異常によって吐き戻された状態です。食道内の食べ物が反射的に吐き出される「吐出」とは異なり、胃や小腸が内容物を無理やり押し戻すことによって生じるため、内容物が吐き戻される直前に吐き気を伴うという性質があります。
たいていの場合は食べ過ぎや食中毒、誤食などがその原因であり、しばらくの間絶食することで回復しますが、中には消化管の潰瘍や腫瘍、腎あるいは肝機能の障害、ウイルスや寄生虫への感染症、腸閉塞、胃捻転といったような疾患が原因となっているものもあります。
また嘔吐によってもたらされる脱水症状や電解質のバランスの崩れは、筋力低下、けいれん、そして神経系の障害といった命にかかわるような状態を引き起こすこともあるため、嘔吐が頻繁に繰り返すような状態が継続する場合や、嘔吐に伴って尋常でない様子が見られる場合には、獣医師の診断による適切な処理が欠かせないとされています。

【原因】
・食べ過ぎ、異物の摂取、食中毒
・食物アレルギー
・消化管の潰瘍や腫瘍
・肝機能、腎機能の低下
・小腸結腸炎
・感染症
・すい炎
・胃腸炎
・腸閉塞
・糖尿病
・腹膜炎

■対処法
嘔吐の基本的な対処法は絶食です。
少なくとも12時間、または動物の健康状態が良好である場合には24時間食物と水分を与えずに消化管を休めるようにします。その後少量の水(氷)から与えはじめ、徐々に通常の食事に戻していきます。
ただし、絶食後にも嘔吐を繰り返すようであれば、獣医師の診断を受ける必要があります。

■その他
嘔吐の原因には、単なる食べ過ぎや消化不良といったものから命にかかわる重症な病気まで、さまざまなものがあります。動物の嘔吐が特別な治療の必要のない単なる「吐出」や一過性の嘔吐であるのか、背景に重症な病気が潜んでいるかの判断は、嘔吐の頻度、吐き方、吐き戻した内容物などによって見極められることが多いため、嘔吐が見られた場合にはその症状をよく観察するようにしてください。また、嘔吐したときに下記の様子が認められる場合には、できるだけ早く獣医師の診断を受ける必要があります。

・嘔吐する回数が多かったり、継続して嘔吐する場合
・何も食べていないのに嘔吐するような場合
・嘔吐した内容物の中に血が混ざる場合
・下痢を伴う場合
・元気がなくなる場合
・腹部膨満が見られる場合

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