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  • 2014年08月19日

  • 猫のフィラリア(イヌ糸状虫病):大切なのは予防


  • コラム出典: Feline Heartworm Disease: Prevention Is Key
    http://vetmed.illinois.edu/petcolumns/petcols_article_page.php?PETCOLID=2568&URL=0


    犬の飼い主の多くは、致死的なフィラリアに感染した蚊が犬にこの病気を伝染することを気にかけますが、実は猫にも伝染することを知っている人はほとんどいません。

    アーバナ州のイリノイ大学獣医学部の寄生虫学獣医であるアラン・ポール医師は、「猫はフィラリアにかかりやすいですが、犬よりは抵抗力があり、また猫のフィラリアの有病率は低い」と言っています。

    犬と同様に、猫の場合も未成熟期のフィラリアに感染した蚊に刺されることで伝染します。フィラリアの固有宿主は犬で、猫を宿主とするのはごく一部です。犬の体内では心臓をはじめ、肺、血管に寄生します。猫では体内で頻繁にほかの場所に移動することから、猫のフィラリアにおける致死率は犬よりも高くなっています。

    感染した犬には250匹ほどのフィラリアがいると言われていますが、猫の場合は6匹以上いることはまれです。寄生量としてこの数は少ないと思うかもしれませんが、小さい猫においてはわずか数匹のフィラリアが健康に悪影響を与えることがあります。

    フィラリアは平均して2-3年猫の体内に生存します。これは犬の場合よりも寿命が短いと考えられますが(犬では最大7年)、重篤な結果をもたらすには充分な期間です。

    ポール医師によると、感染した猫には臨床的兆候はほとんどあらわれませんが、兆候があらわれた時には既に病状が次のステージに進んでいる場合がほとんどだそうです。

    「病気の最初のステージは、感染後3-4ヵ月に未成熟蠕虫が肺動脈に到達するタイミングと一致します」とポール医師。「これらの蠕虫が肺に到達すると猫の免疫系統に攻撃され、死に至ります。ここで猫は初めて、いわゆるフィラリア系呼吸器病に感染するのです」。

    この初期段階では、よくぜんそくやアレルギー性気管支炎と誤診されます。そして虫が成虫になると、急性期の症状は治まります。

    「肺の中で変性した蠕虫は肺に炎症や、血液循環中のあらゆる場所から遊離した血の塊により血管が詰まる血栓塞栓症を引き起こし、しばしば死に至らしめたり、急性肺損傷の原因となります。これが第2ステージです」とポール医師は説明します。「この症状は、例え肺に蠕虫が1匹しかいなかったとしても起こるのです」。

    猫がフィラリアの兆候を呈しているのを飼い主が見分けるのは容易ではないと思われます。多くの猫は、軽度の炎症では病気の兆候を見せずに我慢することが多く、また中には短期間だけ臨床的兆候を見せた後、普通にふるまう猫もいます。

    猫におけるフィラリアの臨床的兆候ははっきりしない病気のようであったり、もしくはほとんどの場合で呼吸器官や胃腸の病気として、そして時には神経にあらわれます。いちばんよく見られるのは呼吸促迫や咳、呼吸努力などで、慢性呼吸病と一致しています。

    食べ物と関係していない嘔吐の回数の増加もまたフィラリアによく見られる兆候ですが、なぜこれらの寄生虫が吐き気を誘発するのかはわかっていません。また食欲不振および体重減少のほか、これらの兆候の両方に加えて突然死も起こることがあります。

    犬と比べて猫のフィラリアの診断は難しいため、獣医は繰り返し検査(異なる機会で)をしなければならないかもしれません。フィラリア血清、猫の胸部X線、心臓の大きさと形を調べる心エコー検査などは、診断の手がかりとなります。

    猫のフィラリアには治療方法がありません。なぜなら感染治療に必要な投薬量が、猫にとっては致死量だからです。フィラリアの兆候の有無にかかわらず、X線検査で肺疾患が見られる猫に対して、獣医は炎症を癒すステロイドをしばしば投与し、フィラリアと診断された場合には血清検査で様子を見ます。

    「治療ができないので、予防はものすごく重要です」とポール医師はアドバイスします。「獣医は、犬に対してするように猫にも予防薬を毎月処方します。室内飼いの猫にもリスクはあるため、室内飼いの猫と屋外で飼っている猫の両方とも予防薬を与えることが大切です」。

    猫のフィラリアについてもっと情報が必要な場合は、担当に獣医に聞いてください。