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いつもと違う行動をすることが異常であると言えるため、イヌの異常行動を定義するのは簡単ではありません。突然イヌが異常な行動をしたらまず獣医に相談し、健康障害をすべて取り除いてもらってください。疾患が原因でない場合、ほとんどの異常行動は訓練によって解決できます。
破壊行動
飼い主の留守中にイヌが家の中の家具や物を壊すとしたら、おそらくあり余るエネルギーを発散できずにいるのでしょう。運動量を増やせば、異常行動の多くは改善します。若いイヌや作業犬系の犬種においては、たいていの場合は散歩だけでは運動量が不充分であるため、イヌを毎日走らせてやってください。
また精神的な刺激も充分でないのかもしれません。飼い主が不在のときは、例えばエサを庭に投げてイヌに探させたり、エサや大好きな物をおもちゃや骨に詰めて家の中や庭に隠したりするなど、イヌに何かすることを与えてください。楽しく過ごせるようなインタラクティブ玩具を与えるのもいいかもしれません。
強迫行動
エネルギーがあり余っている、もしくはおりの中にいる時間が長過ぎるイヌの多くが、ぐるぐる回る、自分自身に噛みつく、光を追いかけるなどの強迫行動を示します。重症の場合には、薬物治療が必要になることもあります。
訓練を通じて強迫行動を減らすには、イヌが強迫行動を始めたらすぐに止めさせます。よくある命令で気を散らし、強迫行動と両立できないような行動を教えてください。例えばイヌがぐるぐる回るなら、おもちゃを探しに行け、とか、いつもの場所に行って横になれ、という号令を、また光を追いかけるようであれば、注意を別の物に向けさせるような号令を教えます。自分自身を噛む場合は、おもちゃや骨を噛むようにさせましょう。
不安行動
物を壊す、吠える、哀れっぽい声を出す、隠れるなど、イヌの不安はさまざまな形で現われます。不安行動を解決するにはイヌの不安を和らげましょう。イヌのお気に入りのベッド、おもちゃ、物およびDAP (イヌ鎮静フェロモン拡散器)を置いた落ち着いた部屋を用意し、ラジオやテレビからはザーッという雑音を流してください。
イヌが不安がるたびにその部屋に連れて行き、落ちつくまでそこに置いておきます。飼い主が落ち着いていられるなら、イヌと一緒にいてもかまいません。これを何度か繰り返すと、そのうちイヌは自分で部屋に行くようになります。
またイヌが怖がっている原因を突き止めて、もっと安心していられるようにしてあげましょう。例えば雷雨を怖がるなら、雷雨の音のCDを買って低い音量で聞かせます。落ち着いていられたら大好きな物を与えてください。これを何度も繰り返しながら徐々に音量を上げていきます。イヌがストレスを感じているようなら、訓練を急ぎ過ぎていることを意味します。
攻撃行動
攻撃行動は危険な行動ですから、いちばん深刻です。攻撃のきっかけは、たいていの場合は恐怖です。攻撃行動を示すイヌには、飼い主の号令が聞こえたら即座に反応するように教え込みましょう。お気に入りの物を用意して、飼い主の安全を確保するためにイヌはひもにつないでおきます。
もし家具から離れると攻撃的になるなら、伏せの号令を教え、これを遊びにします。起き上がらせてから伏せさせ、ちゃんとできたらお気に入りの物を与えます。ごほうびを与えるときもひもを使ってイヌを誘導してください。ほかのイヌを見ると攻撃的になるのなら、「見ろ」と言ったら相手のイヌから目をそらして別の物を見るようにさせるなど、攻撃行動と同時にできない行動を教えましょう。
多くの場合、異常行動は診断や治療が難しいため、時として獣医や専門の訓練士の協力が必要になることがあります。