ロペラミド Loperamide
成分説明
ロペラミドは、腸管が内容物を肛門まで移動させる蠕動(ぜんどう)運動を抑制し、内容物を腸内に滞留させる作用のある腸運動抑制剤です。一般に大腸の蠕動運動の亢進によって引き起こされる下痢の治療薬として用いられています。
人間や動物が吸収した食べ物は消化され、栄養分が吸収されたのちに糞便として体内から排泄されます。
糞便とは小腸と肛門の間に存在している大腸で形成される不要物のことで、小腸から送り込まれた消化物から不要な水分を吸収されたカスが集まって形成されています。その形状や固さにはさまざまなものがありますが、これは大腸に入った消化物が大腸内を移動する早さによって決定されることが知られています。つまり消化物が大腸内をゆっくりと移動すると、その過程でより多くの水分の吸収されて硬くコロコロとした状態となり、逆に便が大腸内を早く移動すると、水分がほとんど吸収されない、水分の多い軟らかい状態となります。
大腸内の内容物は、蠕動運動と呼ばれる腸管の収縮運動によって移動します。そのため、何らかの理由でこの蠕動運動が亢進すると、腸内容物の移動速度が速くなり、大腸の消化物の水分の吸収が充分に行なわれないまま排泄されることで、結果として下痢が生じます。
蠕動運動は副交感神経によって支配されており、その活動は副交感神経系神経伝達物質であるアセチルコリンによって制御されています。
ロペラミドはこのアセチルコリンの働きを妨げ、腸管の蠕動運動を抑制する作用を持つ薬です。腸管壁に存在しているオピオイド受容体と呼ばれるたんぱく質に結びつくことにより、アセチルコリンが副交感神経末から遊離することを妨げる作用があります。
この作用により蠕動運動の活性化が抑えられ、大腸内の内容物の移動速度を遅くさせ、水分の吸収を促進することによってより固い便を形成し、下痢を改善する作用があるとされています。
成分分類
下痢止・整腸薬
適応
下痢症
副作用
下痢、鼓腸、鎮静など
注意事項
腎機能の低下、腸閉塞、尿路閉塞、肝機能障害、緑内障、甲状腺機能の異常などがある場合の使用は適切ではありません。
また、腹痛や外傷が見られる場合や、有害物質の誤食の際には使用せず、獣医師の処置に従ってください。
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