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フェニルプロパノールアミン Phenylpropanolamine

成分説明
フェニールプロパノールアミンは自律神経のひとつである交感神経の働きを増強する作用を持つ成分です。

交感神経は、意志の支配を受けることなく生体機能の調整をしている自律神経のうち、体を活動的にさせる作用を持つ神経です。興奮時や緊張時、そしてストレスを感じた時などに優位となり、心拍数の増加、血管の収縮、血圧の上昇、筋肉の緊張、消化機能の抑制といったように体を活発な闘争的な状態にすることから、別名「闘争と逃走の神経」とも呼ばれています。

この交感神経は泌尿器官においては膀胱の筋肉を弛緩させ、尿道括約筋を収縮させます。この交感神経の働きを増強することによって、低下した収縮機能を増強する作用を持つ成分がフェニールプロパノールアミンです。
交感神経の作用は、その神経終末から放出される神経伝達物質であるノルアドレナリン(ノルエピネフリン)という物質が各臓器に存在している受容体という部位に結びつくことによって発揮されますが、フェニールプロパノールアミンはこのノルアドレナリンと同じフェネチルアミン骨格を有しているため、ノルアドレナリンと同様に受容体に結びつき、交感神経作用の尿道括約筋収縮作用を発揮します。
また同時に、交感神経終末からのノルアドレナリンの放出を促進する作用もあるとされ、これらの作用で低下している尿道括約筋収縮を増強し、尿道括約筋の弛緩によってもたらされる尿漏れ(尿失禁)を防ぐ効果を発揮すると考えられています。

フェニールプロパノールは、かつては人間用の風邪薬としても広く使用されていた成分です。しかしその使用が脳卒中発症の増加と関連付けられているため、現在人間用医薬品としての使用はされていません。しかしながら、イヌにおいてはこのような危険性が認められず、安全に使用できるとされていることから、動物医療の分野では、イヌの尿漏れ(尿失禁)治療薬として広く用いられています。

成分分類
泌尿器系

適応
尿漏れ(尿失禁)


副作用
心拍数の増加、血圧上昇、興奮、食欲減退

注意事項
イヌの尿漏れ(尿失禁)の治療薬としてのみ使用してください。
人間に使用された場合、脳卒中や脳溢血を引き起こす可能性が高くなるとされています。