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ナイスタチン/ニスタチン Nystatin

成分説明
ナイスタチン(ニスタチン)はポリエンマクロライド系の抗生物質です。カンジダ菌や白癬菌といった真菌類に対する静菌、殺菌作用があり、主に皮膚糸状菌症などの表在性真菌症の治療に用いられています。

表在性真菌症とは、真菌類が表皮や被毛、爪などに感染することによって生じる症状のことです。主にイヌやネコ皮膚に常在している皮膚糸状菌(白癬菌)やカンジタ属、そしてマラセチア属といった菌類が異常繁殖することによって発症し、感染部の脱毛やふけ、赤み、そしてかゆみといった症状が現れます。また、感染力が強いため、多頭飼いの場合にはほかのイヌやネコに感染が広がったり、さらには飼い主である人間にも感染する場合があります。

真菌感染症の治療には、真菌独自の構成要素を攻撃することによって菌類の増殖を抑制したり、死滅させる効果を持つ抗真菌剤が用いられます。抗真菌剤には真菌の細胞膜の透過性を変化させるもの、真菌のDNAやタンパク質の合成を阻害するもの、真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールの生成を阻害するものなどがありますが、ナイスタチンは、このエルゴステロールと結びくことによって真菌細胞膜透過性を変化させる抗真菌成分です。この作用により真菌細胞内のイオンを細胞外へ流出させて細胞内の濃度を変化させ、細胞外の水分を細胞内に引き込むことによって細胞を膨張、破裂させるといった強力な殺菌作用を発揮します。

なお、ナイスタチン(ニスタチン)のこの作用は、真菌類独特の構成要素であるエルゴステロールと結びついて初めて発揮されるため、動物における毒性はほとんどないとされています。

成分分類
抗菌薬

適応
感染症

副作用
過敏症反応、かゆみ、発疹、湿疹、痛み