クロラムフェニコール Chloramphenicol
成分説明
クロラムフェニコールは、グラム陽性菌、グラム陰性菌、そして多くの嫌気性生物に効力を持つ抗菌剤で、クロロマイセチンと呼ばれることもあります。1949年に実用化されて以来、テトラサイクリン系抗生物質と並ぶ広域スペクトル抗生物質の原型としてさまざまな感染症の治療に広く用いられてきました。もともとは放線菌の一種であるストレプトマイセス・ベネズラエの産生する物質から生成されていましたが、近年ではそのほぼ100%が化学的に合成されるようになっています。
クロラムフェニコールは、細菌のタンパク質の合成過程に干渉することによってその効果を発揮します。細菌のタンパク質は細菌の成長、増殖に欠かせない物質であるため、その合成が阻害された細菌は結果として死滅するか、宿主の免疫システムによって排除されることとなります。この細菌タンパク質の合成はすべての細菌の生存に必要不可欠な過程であることから、その過程に作用するクロラムフェニコールは広い範囲の細菌に対して効果を発揮する広域スペクトル抗生物質に分類されています。
このように多くの菌に対して効果が期待できるクロラムフェニコールですが、耐性菌の問題や、重大な副作用のリスク、そして代用抗生物質の登場などによって、さまざまな感染症の第一選択薬として使用されることはほとんどなくなっています。しかしほかの抗生物質と比較して眼内移行性が優れているうえ、過敏反応を起こすことが少ないという利点から、点眼薬や眼軟膏の成分としては現在でもよく使用されています。
成分分類
抗菌薬
適応
細菌性結膜炎 感染症
副作用
嘔吐、下痢、食欲減退、血液疾患
注意事項
クロラムフェニコールは体内に蓄積され、毒性を発揮することがあります。妊娠中、授乳中の場合は使用しないでください。
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