エヌ・アセチル・カルノシン(NAC) N-Acetyl-Carnosine
成分説明
生体内に広く分布しているβ(ベータ)-アラニンとヒスチジンのアミノ酸複合体、カルノシンがアセチル化されることによって生成される物質です。
疲労物質の産生や、細胞を損傷することによる老化現象、そしてがんの発生に関与しているとされる活性酸素の働きを抑えたり、たんぱく質や脂質の変性(糖化)によって形成されるACEs(蛋白糖化最終産物)を抑制する作用があります。
活性酸素とは、生体内で発生する不安定な構造を持つ酸素のことです。不安定な構造を安定化させようと周辺の組織を形成している分子から原子を抜き取ってしまう性質があり、この作用によって疲労や老化の原因となる細胞損傷やたんぱく質の変性、酵素の失活といった弊害を引き起こすことが知られています。
この活性酸素の作用を抑制する働きのある物質がエヌ・アセチル・カルノシンの属する抗酸化物質(スカベンジャ―)と呼ばれる酵素です。活性酸素を代謝分解することによってその有害反応を無効にし、生体組織を保護する作用があります。
また、エヌ・アセチル・カルノシンは体内のたんぱく質や脂質が余剰な糖分と結合し、たんぱく質本来の機能を失わせる糖化というプロセスを抑制する作用も認められています。糖化されたたんぱく質はAGEs(蛋白糖化最終産物)という物質となり、体内組織に蓄積されることが知られており、特に加齢と共に発症する傾向のある白内障においては、水晶体の糖化、そしてAGEsがその発症に深く関わっているとされています。
エヌ・アセチル・カルノシンは、カルノシンと比較してその分解酵素であるカルノシナーゼの影響を受けにくいという性質があります。そのためカルノシナーゼが豊富に存在している目において、その影響を受けずに標的とする組織に達し、効果を発揮することができると考えられています。そのため現在では、水晶体の糖化抑制による白内障の症状改善、そしてほかにも緑内障や加齢黄斑変性の症状緩和に効果があるとされ、目の疾患の内科療法に広く使用されています。
成分分類
点眼薬
適応
白内障
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