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白内障

目の水晶体が濁ることで引き起こされる視力の低下のことです。初期のうちは視力の低下により、壁伝いに歩く、物にぶつかる、つまずくといった症状が見られる程度ですが、進行すると失明につながることもあるため、早期発見・早期治療が重要です。


■詳細
白内障とは目の水晶体の一部、あるいは全部が白濁する目の疾患です。

水晶体は、角膜の奥に存在し、厚みを柔軟に変化させることによって目の焦点を合わせ、目に入った光を屈折させて網膜に映し出す働きを持つ透明な組織です。この水晶体を構成しているたんぱく質が何らかの要因で変質し、水晶体に濁りを生じるようになった状態が白内障で、濁りによる光の通過の阻害や光の散乱による視覚障害が引き起こされるようになります。
初期のうちは暗い場所でのぶつかりやつまづき、そして壁伝いに歩くといった様子が見られる程度ですが、症状が進行すると失明に至ることもあります。また目がよく見えなくなることから、ちょっとした物音にも驚くなど、イヌの性格にも影響を与えることになります。

イヌの白内障には、生まれつき水晶体が濁っている先天性白内障をはじめ、品種、遺伝などの要因によって比較的若年のうちに発症する若年性白内障、そして加齢と関連している老年性白内障に分類されていますが、これらのうちでも近年増加傾向にあるのが老年性白内障です。
老年性白内障は水晶体を構成しているたんぱく質が変質し、AGEs(たんぱく糖化最終生成物)と呼ばれる物質として蓄積されることで発症します。AGEsはたんぱく質が体内の余分な糖と結びついて生成される老化物質のひとつで、分解されにくく、体内の組織に蓄積されやすいという性質を持っています。
目の水晶体の細胞は生体のほかの組織と異なり、古い細胞と新しい細胞の入れ替わりがほとんどないため特にAGEsが溜まりやすく、これによるたんぱく質の変質が水晶体の濁りを引き起こすと考えられています。

【症状】
・柱や壁にぶつかる、段差などでつまづくといった歩行障害
・壁伝いに歩く
・小さい音にも敏感に反応する
・目が濁って見える

■対処法
イヌの白内障の治療には、点眼薬による内科療法と外科療法の二つがあります。
基本的に水晶体の濁りによって低下した視力は目薬では改善できないことから、視覚障害が生じてしまった場合の治療は人間と同様に、外科療法によって濁った水晶体を摘出し、人工眼内レンズを入れる治療法が一般的となっています。

目薬を用いた内科療法は、白内障初期の進行を遅らせる目的で用いられます。特にカルノシンを成分とした点眼薬は、優れた抗糖化作用に加え老化を進行させる抗酸化作用も持ち合わせており、特に老年性白内障の進行の抑制や症状の緩和に効果的であることが広く認められ、現在治療薬として広く使用されています。

■その他
白内障を引き起こす水晶体の濁りは、通常は目のふちから発生するため、初期のうちは飼い主が見てもほとんどわかりません。また痛みもなく、初期の段階では視力に影響が出ることはほとんどないうえに、イヌの様子にも大きな変化が出ないために、多くの場合において飼い主が気がついた段階で既に症状がかなり進行してしまっています。 
さらにイヌの白内障は加齢によるものだけではなく、比較的若年から始まる場合もあり、特別な予防方法などもないことから、定期的に白内障の検査をすることが早期発見につながります。

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