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角膜炎

目の虹彩部分の表面を覆っている透明の薄い膜を角膜といいます。この角膜が外界からの刺激や細菌などの感染によって炎症を起こした状態が角膜炎です。軽度のうちは、痛みや不快感から目を気にしたりこすったりする様子が見られる程度ですが、症状が進むにつれ目やにや涙が出たり、まぶしがって光を避けたりするようになります。さらに症状が進行すると、角膜が白く濁ったり、角膜潰瘍や角膜の裂傷を引き起こし、失明につながることもあるとされています。


■詳細
角膜炎は、外部の異物や微生物から目の組織を保護する役割と、目に入る光を屈折させるレンズの役割を果たしている角膜に炎症が引き起こされた状態です。異物やまつ毛などによる物理的刺激や、シャンプーなどの化学物質による刺激、そして乾燥などによって引き起こされる角膜の損傷や、細菌やウイルスによる感染、アレルギー反応などの内的要因が原因となり、発症するとされています。

激しい痛みやかゆみから、イヌやネコが目をしきりにこすったり、床に頭をこすりつけるしぐさや、目をしょぼしょぼさせたり、眩しそうにして光を避けるようにする様子が見られるようになり、目やにや涙の増加、角膜の白濁といった症状が現れます。また、処置が遅れると角膜潰瘍や角膜穿孔が引き起こされ、視力の低下や失明の危険性があるため注意が必要です。

■対処法
基本的には目に入った異物や刺激物を除去し、抗炎症作用を持つ点眼薬や目軟膏による治療を行ないます。細菌やウイルスによる感染が原因となっている場合には抗生物質や抗ウイルス剤の点眼剤や内服剤を使用し、アレルギーやそのほかの疾患が原因となっているものには、原因となっている疾患の治療を行ないます。
しかし炎症が進行し、角膜潰瘍や角膜穿孔といった状態が引き起こされている場合には、ペット用コンタクトレンズの装着や角膜移植などの外科的療法による治療が必要となります。

また、イヌやネコが目をこすりすぎることによる角膜の損傷の悪化の防止に、エリザベスカラーを用いることもあります。

■その他
角膜炎はシーズやミニチュアダックス、チワワ、シュナウザー、ブルドッグ、ペキニーズ、パグなど、目が飛び出ているイヌに発症しやすい傾向があります。これらのイヌにおいては日ごろから目に異常がないかよく観察し、少しでもおかしいと思われるところがあった場合には、早めに獣医師の診察を受ける必要があります。

また毛の長いイヌやネコは毛が目に入りやすく目を刺激しやすいことから、角膜炎を発症しやすいとされていますが、これは目にかかる毛を切ったり抜いたりといった処置をすることによって予防することが可能です。

さらに、ウイルスの感染によって発症するものにおいては、ワクチン接種によって予防できる場合もあるため、ワクチン接種を欠かさないことも大切です。

角膜炎は目の乾燥によっても発症するので、目に潤いがなくなり目やにが多く認められるようになった場合には、動物病院でドライアイの検査を受けるようにしてください。

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