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- 2012年05月10日
ネコにおけるドライアイ症候群
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コラム出典: Dry Eye Syndrome in Cats
http://www.petmd.com/cat/conditions/eyes/c_ct_keratoconjunctivitis_sicca
ネコの乾性角結膜炎
角膜(眼球の前面にある透明な膜)と結膜(白目を覆う無色透明の膜)における重度の乾燥および炎症は、乾性角結膜炎(KCS)として知られる疾患に起因することが多いようです。これは眼の表面とまぶたの裏側の涙液膜が不完全であることを特徴としており、この病態はドライアイ症候群とも呼ばれています。乾性角結膜炎は、ネコにおいては比較的珍しいとされており、メスのほうがオスよりもこの病態にかかりやすいと考えられています。
症状とタイプ
* 過度のまばたき
* 結膜の血管拡張
* 結膜浮腫(まぶたと眼の表面を覆う組織の腫脹)
* 瞬膜(第三眼瞼)の突出
* 眼から粘液または膿の分泌
* 角膜の血液細胞の変化(慢性疾患)が生じることによる色素沈着と潰瘍形成
* 重症例では視力低下または失明
原因
* 免疫介在性腺炎(免疫系の異常な活性に起因する腺炎)によるものが最も多く、そのほかの免疫介在性疾患と関連していることが多いとされています。
* 神経原性によるもの。中枢神経系の疾患は、外傷性眼球突出(眼窩から眼が押し出される)のあと、もしくは涙腺の神経を遮断する神経性疾患のあとに時折認められます。
* 乾燥性鼻炎がドライアイと同側に多く現われます。
* 薬剤によるもの。全身麻酔とアトロピンにより、一過性のドライアイ症候群が起こります。
* 薬物毒性によるもの。サルファ剤を含有する薬剤、もしくはエトドラク(非ステロイド性抗炎症薬[NSAID])により、一過性または永続性のドライアイ症候群が生じる場合があります。
* 医師に起因するもの。第三眼瞼の切除によりドライアイ症候群をきたす場合があり、特にそのリスクのある品種で多く認められます。
* X線によるもの。放射線装置から発せられる一次ビームと接触したことで刺激を受けた眼に発症します。
* 全身性疾患によるもの。イヌジステンパーウイルス
* クラミジア結膜炎によるもの。バクテリア
* 慢性のヘルペスウイルス感染症
診断
獣医は、諸症状の背景にある病歴と、この病態を引き起こした可能性のある出来事を考慮に入れながら、ネコに対し詳細な身体的・眼科的検査を行ないます。
シルマー涙液試験は、涙の分泌量と、眼の湿りの程度を測定するのに用いられる試験です。具体的には、涙管からの涙液分泌量と眼に行きわたる量で、涙液量が不充分であるような場合は乾性角結膜炎が示唆されます。
さらに、培養のために涙液の検体を採取することもあります。これは眼の細菌増殖の重症度と、乾性角結膜炎の原因となる感染症があるのかどうかを判定するために行なわれます。一方、眼の磨耗または潰瘍もしくはその両方を特定するために、フルオレセイン染色法を用いることもありますが、この検査法は非侵襲的色素を点眼し、青色光の下で精密な診査を行なうものです。
治療
入院を要する続発疾患がない限り、ネコは外来通院で治療を受けることになります。人工涙液や、場合によっては潤滑剤などの局所用薬剤がネコの涙の欠乏を補うために処方され、投与されます。飼い主は、薬を投与する前に、ネコの眼を必ず洗浄することが必要であるほか、眼を清潔に保ち、乾燥した目ヤニがないようにしておく必要があります。乾性角結膜炎のネコによっては、重篤な角膜潰瘍にかかりやすいネコもいるので、痛みが増したならば、重傷になる前に治療してもらえるよう即座に獣医に問い合わせることが必要です。
さらに細菌感染の治療のため、もしくは予防策として、眼中への局所抗生物質が処方されるほか、外用副腎皮質ホルモン剤またはシクロスポリン(免疫系の活性を抑制する免疫抑制薬)が炎症と腫れの治療に使用されます。そのほか、この症候群をもたらす原因となる病気に準じて、別途薬が処方されるでしょう。
また耳下腺管転位術と呼ばれる外科処置が、耳下腺管の位置を移動させるのに用いられることがあります。この処置は水様液の導管の位置を移動させるもので、これにより唾液を利用して涙の不足を補うことができ、下結膜嚢に水分が行きわたるようにします。しかし、シクロスポリンが導入されて以来、この処置の施行回数は少なくなっているようです。なお唾液は角膜を刺激することから、手術後に不快感を覚えるネコも若干存在し、薬物療法の継続が必要となります。
生活と管理
治療効果と進行状況を観察するために、一定間隔でネコの再検査を行ないます。シクロスポリンの効果を見るために、投与開始から4-6週間後に再度シルマー涙液試験を行ないます。免疫介在性疾患は、生涯にわたって治療を必要とするのが普通です。そのほかの種類の疾患は一過性であると考えられ、涙の分泌が戻るまでに限り、治療が必要となるでしょう。
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